徹夜が翌日に残る。前は平気だった量のお酒で、次の日がぼんやりする。「無理がきかなくなったな」と、ため息まじりに思う夜があります。
その言葉の裏には、たいてい「下り坂に入った」という前提がくっついています。若い頃の自分が基準で、今の自分はそこから引き算された存在。そんなふうに、いつのまにか思い込まされていないでしょうか。
でも、立ち止まって考えてみたいのです。無理がきかないことと、衰えること。この二つは、本当に同じものなのでしょうか。
無理がきかないのではなく、無理が「見える」ようになっただけ。
「平気だった」の正体
若い頃、無理がきいたのは、身体が丈夫だったからとは限りません。
- 限界のサインに、気づけなかっただけ
- 疲れを、感じる前に押し切っていた
- ツケを、後回しにしていた
- 「平気」は、鈍さの別名だったこともある
無理ができたのではなく、無理をしている自覚がなかった。そう捉え直すと、景色が少し変わります。
身体は、精度を上げている
今のあなたが疲れを早く感じるのは、センサーが鋭くなった証拠かもしれません。
- 「ここまで」のラインを、先に教えてくれる
- 小さな不調を、見逃さなくなる
- 取り返しがつく前に、止めてくれる
- 浪費する前に、配分を考えさせてくれる
これは故障ではなく、アップデートです。身体があなたを、守ろうとしている。
早く気づけることは、弱さではなく、賢さです。
「下り坂」という物差しを外す
35歳から下り坂、という言説は、ピークを一点に置く考え方です。でも、人生はグラフの一本線ではありません。
- 体力のピークと、人生のピークは別物
- 削るだけだった日々から、選ぶ日々へ
- 量で押す時期から、質で深める時期へ
- 比べる相手は、過去の自分でなくていい
下り坂に見えるのは、上り坂の物差しで測っているからです。
身体の声と、つきあう
もちろん、気になる変化があるときは、自己判断で抱え込まないことも大切です。
- 続く不調は、専門家に相談を(あくまで目安として)
- 「歳のせい」で、片付けすぎない
- 休むことを、サボりと呼ばない
- 整えることは、甘やかしではなく手入れ
無理を見抜けるようになったなら、その声を信じてあげてください。
今日から
「無理がきかない」のではありません。あなたは、無理を見抜けるようになったのです。
それは衰えではなく、長く自分とつきあってきた人だけが手にできる、繊細さです。限界が見えるなら、その手前で、ちゃんと自分を大切にできる。
踏ん張れた昔より、今のあなたのほうが、ずっと自分の味方なのかもしれません。