「前はもっと動けたのに」「前はこんなに疲れなかったのに」。気づくと、口ぐせのように出ていませんか。過去の自分を物差しにして、今の自分に点数をつけてしまう。そのたびに、ほんの少しだけ、自分が嫌いになっていく。
でも、その「前」とはいつのことでしょう。10年前、20年前。たしかにそのころのあなたは、たくさん動けたのかもしれません。けれど、今のあなたは、そのころのあなたとは別の時間を生きています。比べる相手として、本当にふさわしいのでしょうか。
「できたのに」は、過去を主語にした言葉です。その主語を、そっと「今の私」に戻してみる。すると、責める問いが、選ぶ問いに変わります。今の私は、どうしたいのか。それは、責めることより、ずっと前を向いた問いです。
過去と比べるのをやめた瞬間、身体はやっと、今のあなたと話しはじめる。
「前はできた」は、いつの間にか口ぐせになる
過去の自分との比較は、気づかないうちに習慣になっています。誰に頼まれたわけでもないのに、自分で自分を採点してしまう。
- 「昔はこうだった」と、無意識に過去を基準にする癖
- できないことばかり数えて、できることを見落とす
- 過去の自分を、勝てない相手として連れ歩いてしまう
過去のあなたは、敵ではありません。比べて落ち込むためにいるのではなく、ここまで連れてきてくれた仲間です。物差しを置けば、関係はやわらぎます。
主語を「今の私」に戻す
「前はできたのに」を、「今の私はどうしたい?」に言い換えてみる。たったそれだけで、立っている場所が変わります。
- 「失った」ではなく「今、何があるか」を見る
- 「べき」ではなく「したい」で考える
- 評価の問いから、希望の問いへと切り替える
過去形の問いは、いつも後ろを向いています。現在形の問いは、前を向いています。同じ身体でも、向きが変われば見える景色は変わります。
身体の「今」を、事実として聞く
比較をやめると、身体の声がよく聞こえてきます。代謝や体力が年齢とともに変わるのは、多くの人に起こる自然なこと。あくまで一般的な目安ですが、それは「劣化」ではなく「変化」です。
- 疲れやすさは、休んでというサインかもしれない
- 「前のペース」ではなく「今の心地よいペース」を探す
- 気になる症状やつらさは、我慢せず専門家に相談を
事実を事実として受け取ると、不安は静かになります。煽られた不安と、本当のサインを、混ぜないことが大切です。
「どうしたい?」と問える人は、もう自分を責めるのをやめた人です。
「したい」が見つからない日があってもいい
いきなり「どうしたい?」と聞かれても、すぐには答えが出ないことがあります。それでいいのです。長く「べき」で動いてきた人ほど、「したい」を見つけるのに少し時間がかかります。
- 答えが出ない日は、無理に決めなくていい
- 小さな「心地いい」から、ゆっくり手がかりを拾う
- 痩せることや若く見えることを、目標の中心に置かない
焦らなくて大丈夫です。「したい」は、急に湧くものではなく、少しずつ思い出していくもの。今日見つからなくても、明日のあなたが見つけるかもしれません。
今の私で、今日を選び直す
過去のあなたと張り合うのをやめて、今のあなたで一日を選んでいく。それは諦めではなく、もっと正直な選び方です。
- よく眠る、よく食べる。基本を、自分のペースで
- 動くのは罰ではなく、気持ちよさのため
- 「前みたいに」より「今ちょうどいい」を優先する
完璧を目指さなくていいのです。今の身体と歩調を合わせていく。その積み重ねが、これからの心地よさを作ります。
今日から
「前はできたのに」を手放して、「今の私はどうしたい?」と聞いてみる。
過去の自分は、競う相手ではありません。今のあなたには、今のあなたにしか選べない一日があります。比較から静かに降りて、身体の声に耳を澄ませて、したいことを少しずつ思い出していきましょう。急がなくて、大丈夫。今のあなたのまま、これからも咲いていけます。